自作の小説(ノベル)・歌詞・詩(ポエム)等のクリエイティブ系コミュニティサイト

ようこそ ゲスト さん

投稿した小説(ノベル)にコメントがもらえるコミュニティ

小説(ノベル)

[広告]

こんなにも何気ないこと (完結作品)

作: 朔太郎と豆兄弟

映像シナリオ『こんなにも何気ないこと』

朝、綺麗な花の横を素通りして学校へ向かう無表情な少女。
笑顔ではしゃぐ子供達。

夕方、真っ赤な夕焼けを背に帰る無表情な少女。
家々からもれる団欒の声。

一人で食事をとる少女。傍らには母からの伝言「コーラスの練習で遅くなるから
オムライスをレンジして食べて。部屋片付けなさい」
壁にはコーラス隊で合唱する母の写真。
冷蔵庫からミネラルゥォーターを取り出し飲む。

朝、綺麗な花の横を素通りして学校へ向かう無表情な少女。

学校でクラスメイトが口々に少女に向って「また一番かよ、すげえな」「頭いいのね」と感嘆の声をあげる。
「うん、ありがと」素っ気なく答える少女。

夕方、真っ赤な夕焼けを背に帰る無表情な少女。

伝言「カレーを温めなさい。部屋片付けないから片付けといた」
それを目にした途端、慌てて自分の部屋に走る少女。
ない!ゴミ箱を引っくり返す。ない。あちこち何かを探し、台所の片隅に自分の雑誌が束ねてあるのを見つける。
慌てて紐を解き、中の一冊を急いでめくる。あった。手紙。好きな男性に宛てた手紙。

外へ出る。夕暮れ。公園にやってくる。公園の恋人達。
スケボー乗りの「不良ども」を遠巻きにして「ホームレス」を遠巻きにして広場の階段を下りる。
目指す男性がいつも大道芸の練習をしている場所だ。
と、その男性の傍らに女性が。立ち止まる少女。
楽しげに話す二人。立ち尽くす少女。踵を返し走り出す。公園の階段を駆け上がり、
立ち止まって手紙を見る。握り締め丸めて放り投げる。
地べたに這いつくばって何かやってるおじさんに当たる。振り返るおじさん。
それを投げたと推測される少女を見て
「お嬢ちやんかい?ゴミは、くずかごに」
「…〈お嬢ちゃん〉じゃないです」
「じゃ、尚更、くずかごに。杜会常織だな」
「…」
「やれやれ。お、これは珍しい、新種に違いない!よし、〈宿無し草〉と名付けよう」
虫眼鏡を片手に地べたを這いつくばっているおじさん。

「…何やってるの?」
「この公園の植物を調べてるのさ」
「…東京都の人?」
「そうだ、東京都の人だ、ここに住んでる」
「ここ?」
「そうだ」
「ここって公園?」
「そうだ」
「…ホームレス?」
「人はそう呼ぶが」
途端に顔色が変わり走り去る少女。

部屋。友達にメールを打ちまくる。
「ホームレスのクソおやじに杜会常識がないって言われた、ムカツク!」

翌日。ホームレスの側に立つ少女。ホームレスは植物に夢中で気付かない。
持ってきたゴミ袋を逆さにして中のゴミをホームレスの鼻先に落とす。
ホームレスが気付くと少女はそれらをサッと拾い集めくずかごに捨てる。
ホームレスに一瞥をくれ早足で去る少女。苦笑するホームレス。
早足で歩いていると好きだった男性が自転車に乗ってやってくる。逃げ出す少女。
ホームレスの所まで走り戻る。ホームレスは少女に気付くが無視して草を調べている。
「お、これまた珍しい、新種に違いない、よし、〈杜会常識草〉と名付けよう」
側のベンチに座る少女。鋭い目つきでホームレスの動作を見ている。
ホームレスは〈杜会常識草〉をシャベルで自分が勝手に作った囲いに植え替える。
囲いの中は既に植え替えられた草花と命名札で一杯だ。
「ありゃりゃ、こいつは凄い、新種が群生している、大発見だ!」
「…ただの雑草じやん!」
「…お嬢ちゃん、それを言っちゃあおしまいよ」
意外な答えに眼を丸くする少女。
「確かにただの雑草に違いない。しかし、ただの雑草でないかも知れない」
「…何言ってんの?」呆れたようにまるで子供に問いただすようにいぶかる少女。
「つまり、草一本にでも感動がある、ということさ、お嬢ちゃん」
「〈お嬢ちゃん〉はやめて下さい」
「じゃあ、何て呼ぶ?」
少女は名を名乗ろうとするがホームレスに名前を明かしていいものかと躊躇する。
「まず、自分から名乗るのが杜会常識でしょ」
「おっと、こいつは失敬、私は、いいよ、えーと、お兄さんで」
「じゃあ私はお姉さん、でいいわ」
「はあ、お姉さん、ね」
「おじ・・、お兄さんは何でホームレスなんかやってんの?何で植物なんか調ぺてんの?くだらない」
「おじょ・・、お姉さんは何でそんなだらしのない靴下履いてるの?何で何でもかんでも決め付けるの?早くにボケちゃうよ」
「ボケ・・!☆?これはルーズソックスってゆうの!何でもかんでも、って…!」言葉を飲みこむ少女。
「ごめんごめん、言い過ぎたね。エヘン、エヘン、私は去年まで経営していた会杜が倒産してね、
つまり破産だ。幸か不幸か家族もない。流れ流れてここまで来たんだ。別に威張ることじやあないね、ははは。でも、いいよー、気楽で、ホームレスは。気楽ついでに子供の頃の夢を叶えてる、って訳さ。植物学者」
「…ふーん」
「今日学校は?」
「日曜日」
「あ、そうか」
「本当に気楽ね」
「お、いいねえ、今の受け答え」
「へ?」
「エスプリが利いてるね」
「エスプレッソ?」
「ははは、まだ難しいな」
「子供扱いしないで」
「済まん済まん、私こそ決め付けてるかな」
「おじ・・お兄さん、年は?」
「人に年齢を尋ねるときはまず自分から」
「ムカツク、14」
「私はこう見えても38」
「あ、お父さんと同じだ」
「あちゃー」
「・・・生きていればね・・・」
「・・・どうした?」
「3年前に死んじゃった。病気で」
「それはまた・・・」
下を向く少女。
「ごめん、思い出させちゃったかな。・・・泣いてるのかい?」
「泣いたことなんかない!この3年間」ピー、とメールが入り、読む。
「友達からメール、じゃあね」
手を振るホームレス。

後日。地面を這いずり回るホームレスをベンチに座って眺めている少女。手にはミネラルウォーター。
「やった、大発見!いや、感動的でさえある!よし、〈何気ない感動〉と名付けよう」
側に寄ってホームレスが虫眼鏡で見ている草を覗き込む少女。
「やっぱ、ただの草だ」
「そう思うかね?ま、確かにそうだな。でも私が今発見したのはそういうことではない。この葉は
いまだかつて私が見たことがない色と形なんだ。つまり私にとっての大発見であり感動なのさ」
「幸せね~」
「ああ、幸せだ」
「くだらな~い」
ホームレスは腰に下げた袋から薄汚れたペットボトルを取り出し、グビリと中味を飲む。
「それ、何?」
「水」
「どこの?」
「公園のさ」
嫌な顔をする少女。
「おじょ・・、お姉さんは不幸なのかい」
「いいえ、不幸ではないわ、お父さんの莫大な遺産があるし」
「じゃあ幸せだね」
「…幸せ、でもないかも」
「そうだね、その〈かも〉が大切だね」
「・・?」
「つまり物事は決め付けちゃいけない。あやふやな部分があると可能牲が広がるからね」
「はー」
「先入観や既成概念に囚われるのは愚かなことかも知れないね」
「ふうん」

別の日。ホームレスと少女の交流。

別の日。少女が公園にやってくるがおじさんがいない。しばらくベンチに座るが来ない。
近くにいるホームレスに恐々近寄り尋ねる。
「あの、いつもここにいる植物学者のおじさんは・・」
「ああ、あの人なら昨日救急車でかつがれていったぞ」
「ええっ!どうしたんですか!」.
「何だか、血を吐いてたな」
「・・何処の病院ですか」
「さあってねえ?」
「…」

夜、部屋。
「大丈夫、大丈夫…」つぶやく少女。父が死んだときの光景。振り払う。

夕暮れ、学校帰りに毎日公園を覗きにいく。いない。うなだれて帰る。
スケボーの不良どもの真ん中を通り。

雨の日、傘を差し公園を覗きに行く。おじさんはいない。世話する人のいない「新種の囲い」は荒れ果て、中の雑草や命名札は誰かに踏みつけられたのか倒れている。少女は傍らにしゃがみ込み、雑草に触れてみる。倒れている命名札「何気ない感動」を挿し直す。

そして、何週間後。彼はいた。これまでのように地べたに這いつくばって虫眼鏡を振り回している。
駆け寄る少女。
「おじさん!」
「おぉっ」
言葉にならない少女。
(倒れていた雑草が起き上がり始める)
涙が溢れる。
「心配したんだからね」
「ごめん、ごめんな」
「…あ、私、泣いてる・・」
うなずくおじさん。
公園の水を飲む少女。
「こんなにも公園の水が美味しいなんて!」
「こんなにも空が青いなんて!」
「こんなにも、こんなにも・・・!」

おじさんと戯れたり、大道芸の男性とその彼女と一緒に遊んだり、の少女。
(起き上がった雑草がつぼみをつけ花を咲かせる)



※この小説(ノベル)"こんなにも何気ないこと"の著作権は朔太郎と豆兄弟さんに属します。

この小説(ノベル)の評価
評価項目評価数
合計 0
[広告]

この小説(ノベル)のURLとリンクタグ

この小説(ノベル)のURL:
この小説(ノベル)のリンクタグ:

コメントを書く

登録済みのユーザーは ログイン してください。
登録済みでない方は 新規登録 してください。

新規メンバー登録(無料)
第4回みんなのライトノベルコンテスト「しまのわライトノベルコンテスト」
広島で開催!コスプレをはじめとするジャパンカルチャーイベント「コスカレード」
  • 公式サークル みんなの小説(ノベル)
  • 公式サークル みんなの詩(ポエム)
  • 公式サークル みんなの歌詞
  • 公式サークル みんなのイラスト
  • 公式サークル みんなの写真(フォト)

ランキング

3位
3位
3位
3位
3位
3位
3位
3位
3位
3位
3位

※ここでは2018年5月17日のデイリー表示回数ランキングを表示しています。