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トゥンク―歩道でのすれ違いを機に― (完結作品)

作: ミヤマ

 歩道を歩いていると、向こう側からも人が歩いてくるのはごく普通のことである。そしてすれ違う時には、「避けてたまるか」と正面から突っ込んで来る人もあれば、スマホに夢中でまったく気づいてくれない人もいる。これもまあ、普通のことである。
 だが、そういう普通のことで、なんだか疲れてしまったりする。ケイ氏はそういう人だった。
 今日も今日とて、ケイ氏は駅からの帰り道に歩道を歩いていた。7月の蒸し暑い夜。カッターシャツが素肌に張りつくのにうんざりしつつも、最近運動不足だから、駅と家の間の15分くらいの道を自転車にも乗らずに歩いているわけである。
 ケイ氏は、前から人が来たときには大概、避けるように心がけていた。そんなつまらないことで争うなんてばかばかしいと思っているからだ。しかし、その日は仕事で大きなミスをしてしまい、ケイ氏はどことなく上の空だったので、前から若い男がジョギングしてきたことに気づかなかった。 
 果たして、ケイ氏とジョギング男子は正面衝突した。ジョギング男子というものは、避けることに多少とも体力を使うことを嫌うせいか、けっこうスレスレを走ってくるものだ。そういうわけだから、この二人は衝突したのである。
 ケイ氏は衝撃ですっころんでしまった。
 
 「や、痛い。これはたまらん」
 「あの、大丈夫ですか」
  
 ジョギング男子は息を切らし、膝に手をつきながら、遠慮がちに様子をうかがってきた。

 「どこか痛みますか」
 「うむ、少しお尻を打ってしまったようだ。きみは大丈夫かい」

 ケイ氏は尻をさすりながら、やっとのことで起き上がった。

 「いえ、どうもすみませんでした」
 「いいや、こちらも不注意だったのでね。」

 ジョギング男子は恐縮して頭を下げてくる。温厚なケイ氏といえど、何もいわず去ってゆくようなら腹立たしく思ったであろう。しかし、なかなかの好男子が礼儀正しく頭を下げてきたので、かえって恐縮してしまった。
 ケイ氏とそのジョギング男子は、かくして付き合うことになった。このように歩道を歩いているだけで出会う恋もある。ケイ氏は歩道で人とすれ違うことを苦手に思い続けてきたが、この一件を機に克服できたようである。

※この小説(ノベル)"トゥンク―歩道でのすれ違いを機に―"の著作権はミヤマさんに属します。

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この小説(ノベル)へのコメント (1件)

ミヤマ

'17年7月15日 22:42

推しカプは ジョギング男子×ケイ氏ですね。

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