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小学1年生 (完結作品)

作: うさPON'S

小学1年生


主に日本の鮭は秋になると産卵のために三陸地方の川へ遡上します。冬の季節になっても氷で覆われない湧水の出る砂利地帯を産卵場所に選びます。雌が産卵床になる穴を掘って放卵をします。雄が放精をすると受精がおこなわれます。雌がその穴を砂利で覆い水温が8度だと60日で孵化し60日が更に経つと稚魚になります。浮上した稚魚はプランクトンを主に捕食します。3月から4月頃に群れで降海し、汽水域で8cmを越える大きさになった稚魚は順々に北洋へ移動します。北洋で1~6年の海洋生活を過ごした鮭は母川に向けて回帰します。


窓際のテーブルで付けていたラジオが鳴った。座布団から立ち上がり、カーテンを開くと水滴の奥に普段の街並みが映った。硝子に耳をそっと押し寄せる。どうやら、高架橋で新幹線が走っているようだ。耳は冷たくなり今日がごみの日だと思いだした。ビニール袋を持ち、ぼろアパートを出て集積所に行くと扉の前に不安定な形をした袋が2,3置いてある。アパートの住人が回収する人の効率を考えて外に置いたのだろうか。袋を退け扉を開くと既に様々な形をした袋が置いてあり、その上に持ってきた袋を乗せる。土台になっていた袋は形を変え扉の外に落ちた。地面に転がった袋は雨に何度も当たり静かに音を立てた。袋を拾い丁寧に扉の中に入れてやる。

ヒロシ「扉の中に片方だけ取り外し可能なロープを3,4本縦に取り付けて1段できたら下の―プを繋げて2段できたら中のロープを繋げる。そうやって、積み上げていって回収する人が上から袋を取って固定しているロープを外していけば、うまく積めるんじゃないかな。」

急いで集積所から部屋に戻り、扉の軋む音がしてから悴んだ手が鍵を捕らえ扉の方へ滑らせる。新幹線はアパート付近を過ぎて遠くへ行き、ラジオからコメンテーターの会話のやり取りが聞こえる。

ラジオ「ベビーブームに生まれた方々が定年を迎え、暮らし良い街並みに移り変わりました。高層ビルが建ち並び、建物の中は定年を迎えた方にもご利用できるよう専用エレベーターが設置され、外にも専用の駐車場があります。」
ラジオ「高齢者の方も地域の協力によってスムーズに安心した生活ができるようになりますね。」
ラジオ「では、今日はこの辺で。」

両手を擦り合わせてテーブルに戻る。静かな町で生まれた。自動車などは、ほとんど通らず、歩行が多い訳でもない。朝になれば、ランドセルを背負った子どもが通学路に添い同じ方角を目指していた。

窓の外を見るとさっきまで降っていた雨が止んでいた。ノートと参考書を閉じて外に出る。


コートを握りしめ前のめりに歩くと吐く息が白い。もう一度、息を吐くと、やはり白い。前のめりになった姿勢が戻せず、それに合わせて両足が動く。小道を行けば生け垣や植木のある御屋敷が軒並み建っている。家の周辺を煉瓦や石積みの塀で囲いアコーディオン門扉の隙間から覗くと枕木が玄関に続いており傘が立ててある。物干し竿が隣家の茂みに差しており、洗濯物は取りこまれていた。干し竿の横に幼児が乗る補助輪の付いた自転車のサドルが濡れている。今にも縁側から家族の賑やかな話し声が聞こえる雰囲気を醸し出していた。木枯らしが吹き落ち葉が渦を巻く。


小学校の時に学校へ通う習慣で友達と石けりをしながら登校していた。
友達 「ヒロシ遅せぇよ。」
そう言って登校仲間の友達が十字路の白い線の上に立って僕を急き立てた。
ヒロシ「悪りぃ。」
友達 「じゃあ、今日もヒロシが鬼な。そこで石ころ拾ってきたから。」
十字路に置いてある石を友達の足を目掛けて蹴った。友達は右足を宙に浮かせてから左足で跳ねて高く飛び僕の蹴った石をかわした。
ヒロシ「この前、学校が終わってみんなで家に帰ったじゃん。」
石は友達に当たらず、止まっては転がり学校への距離を近づけていく。
ヒロシ「あの時にちょっとした事でもめてたよな。」
友達 「あった。あった。お前、酷ぇよな。女の肩持つなんてよ。」
ヒロシ「話し聞いてなくてさ。いきなりだよ。どん茸が俺の所に来てヒロシ君もそう思うよねって言うからさ、頷いちゃったんだよ。そうしたら、どん茸がありがとって言ってウインクしたんだよ。その日から、眠れなくなちゃってさ。なんていうの。こうさ。胸がドキドキしちゃって…。」胸に手を当てて言った。
友達 「やっぱヒロシも、どん茸がカワイイって思うよな。先に言ったよな俺。学校の中でどん茸が一番カワイイって。」
ヒロシ「あ。12345678910。」両足で石を挟み蹴っていた地面より高い所に乗せて早口で言った。
友達 「お前ズリぃよ。」数え終わってから同じ高さの所に足を乗せる。
ヒロシ「じゃあ、今度お前が鬼な。じゃあ先に学校行くわ。」そう言って走り出した。
友達 「ストップ。」
ストップの掛け声を聞いて2,3歩進んでから足が止まった。
友達 「動いた。今ヒロシ動いたろ。」
ヒロシ「助走だよ。ジョソウ。知らねぇの?」友達の方に振り向いて言う。
友達 「何だそれ。助走って勢いつけるためのもんだろ。いいから、そこ動くなよ。」
ヒロシ「いいよ。ゼッタイ当たんねぇ―から。自信ある。」
友達の蹴った石は僕の足に当たらず前方に転がり、友達が転がった所まで取りに走って行く。その間に、道路の溝に落ちている枯れ葉を集めて友達の頭にかけてやった。
ヒロシ「枯れ葉吹雪だー。」
友達も枯れ葉を集めて同じことをした。

ヒロシ「そういえば、廊下の天井にぶら下がってる非常口のプレートあるじゃん。跳んで届くようになったぜ。めいいっぱい走ってだけどな。」
友達 「あ、ああ…あれか。」
ヒロシ「どうしたんだよ。お前も練習すれば届くようになるよ。」
友達 「美術室に繋がってる廊下だろ。美術の授業を受けに行く時にさ。届くかどうか試してみたんだよ。」
ヒロシ「へー。どうだった?届いた?」
友達 「全然、届かなかった。」
友達 「俺がやってるの見てさ。どん茸が私もやりたいって言ったんだよ。」
ヒロシ「へー。もしかして、先を越されたとか?」
友達 「いや。プレートの先に男の学級委員が歩いててさ。どん茸、プレートじゃなくて、そいつの背中に乗っかったんだよ。踵がつま先より上がってさ。ふわって、地面から足が離れたんだよ。言ったんだよ俺。そんな格好じゃあ跳んだ時にパンツ見えんぞって。学級委員のやつ、スカートの上からどん茸の太股を触ってさ。ゆっくり生足に手を回したんだ。それで、どん茸が言ったんだ。美術室までおぶって。って。」
ヒロシ「どん茸も学級委員やってるし、学級委員同士で付き合ってんじゃねぇかって噂が流れてるからな。ははは。じゃあ今日から届くように修行しようぜ。届いたら、どん茸も振り向いてくれるからさ。」
友達 「そうだよな。届くようになったら、どん茸に良い所を見せられるもんな。」

校庭に100Mの白い線を引きラインマーカーが置き去りにされていた。池には鯉が泳ぎ水面に落ちた銀杏の隙間から姿を見せて隠れる。鯉が沈んだまま上がって来ない。校舎の前に一様に並んでいた上級生や同級生の何人かが池の周りに集まった。包装紙に載った抹茶入りの白玉あんみつを老眼鏡越しから見て楊枝で突いていた用務員のお婆さんがロッキングチェアから立ち上がりバケツを持って掬い上げる。「こういう時は塩をかけてやるのさ」とお婆さんがシュシュを解いて髪をなびかせて言った。塩をかけてやると鯉が動き出した。空は羊雲を棚引く。時計の針は8時5分前を差している。

ヒロシ「見たかよ昨日のドラゴンボール。パンチは強ぇー。ゴクウがパンチで戦うんだったら俺もパンチで戦うよ。」昨日のアニメで主人公が魔の紋章を身にまとった妖怪の胸を貫くシーンを思い出して言った。
男の子「お。おーい。」同級生が息を切らして列に近づく。
男の子「みんな昨日の掃除当番サボったから、どん茸が怒ってんぞ。」
ヒロシ「マジかよ。」
学年1のかわいさから学級委員に選ばれた女の子どん茸が制服のチョーカーに校章を付け、朝礼の時に最前列で前へ倣えをする格好を執り登場。
ヒロシ「どん茸。」
どん茸「掃除当番サボったでしょ。あのねぇ!」
時計の針が8時ちょうどを差して鐘の音を響き渡らせ、校舎の前に列を作っていた生徒が一斉に掛け入った。
ヒロシ「チャイムだ。みんな行くぞ。」

校舎の中に入ると電気は付いておらず、向かい側にあるらせん階段の中間地点から陽が射してすのこの上に砂粒と埃が宙を舞うのが見えた。下駄箱の前で上履きに履き替えようとする少年が立っていた。
ヒロシ「じゃまだ。どけっ。」少年を押しのける。
長川 「あん?」
おさ川?パンチは強ぇパンチは強ぇパンチは強ぇー!
ヒロシ「だぁー!!」
パンチをするが長川のミドルキックに尻もちをつくと同時に、密かに創り上げていた胸の奥の部屋が震動し、巧みに造った紙粘土のゴクウ像が机から落ち粉々になった。
ヒロシ「ダメだ。パンチは弱ぇ。」
ヒロシ「わかった。話し合おう。」砂を払い落して右手を差し出す。
長川は階段を駆け上がり、中間地点から蛇口の並んだ飲み場の上に窓が見えた。


道路と線路を隔て塗装が剥がれ落ち錆びた鉄筋が露わになる。東の日が線路に敷く石の盛りに影を映す。緩やかな坂を上り、その影を辿ると片側の踏切が降り音を鳴らす。降り切る前に越えるとコンビニがあり、そこに行ってホット缶コーヒーのブラックを買った。出ると、陽は昇り暖かく正午が時計の針を迎えようとする。前のめりの姿勢は元に戻るが、吐く息は一層白くなり仰天。


子どもの頃に口ずさんでいた歌を歌いながら近くの公園に向かう。

日曜日の昼は大家族でランチさ♪
ビルの屋上は景色が良いもんだね♪
とっておきのおまじないを膨らまそう♪
見ててごらん♪
東京 上野 浅草 世界一周もいいかな♪
お洒落して行くよ 蝶ネクタイも似合うだろ♪



公園に着き電燈の付いていない外灯の下にあるベンチに腰をかける。広場を越えて端に滑り台の着いたアスレチックがあり、時計台の隣に砂場がある。

小男子「僕が先にルフィー読むんだよー。返してよー。」
大男子「うるせぇ。俺が読んだ後に読めばいいだろ。」
小男子「僕が買ったんだから先に読ませてよー。」
大男子「うるさい。こうしてやる。えいっ。」

二人の男の子が週刊少年ジャンプの取り合いをしていて、小さい子がキックを喰らい泣きだす。大きい子が雑誌を持って公園の外へ走り出した。小さい子は公園に取り残されて泣いたままだ。飲みかけの缶コーヒーをベンチに置き歩み寄るが、子どもは涙を流したままでこちらに気づかないでいる。膝を折って子どもの目線に立つ。

ヒロシ「ボウズ、パンチの方がめちゃくちゃ強ぇーぞ!」

おわり。


あとがき
この作品はアニメ『ドラゴンボールZ』のゴクウとアニメ『ワンピース』のルフィ―が戦ったらどちらが強いかを小説的に実験した作品です。『ワンピース』のルフィ―の声優さんは『ドラゴンボールZ』のゴクウの子分であるクリリンを演じていたので著者はゴクウの方が強いと感じております。
また、田中慎弥氏の『共喰い』のイメージカラーを真似て「暗がりのドブにある微かな光」を著者は背景描写としてイメージし「茶色と影」を入れたのですが、どうやら失敗したようです。表紙のカラーは田中慎弥氏の『共喰い』を読んで近いと思ったイメージカラーです。
田中慎弥氏に完敗です。
主題歌はMr.Childrenの『fanfare』です。

※この小説(ノベル)"小学1年生"の著作権はうさPON'Sさんに属します。

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